みなさん、「咳」や「たん」が続く、息切れがする・・・なんてことはありませんか?
風邪かな、歳のせいかな、と見過ごしがちですが、実は
「COPD」(慢性閉塞性肺疾患、または肺気腫)という肺の病気の可能性があります。
~別名「タバコ病」~
喫煙はがんや脳卒中などさまざまな病気を引き起こしますが、中でもCOPDは原因の90%以上が喫煙で、別名「タバコ病」とも呼ばれています。
タバコの煙などの有害な空気は肺に炎症を起こし、やが体内に酸素を取り込む働きをする肺胞を破壊します。
肺胞が壊れると息をすばやく吐き出せなくなって、体を動かすと息切れが起こるようになります。また、酸素を十分に取り込むことが出来なくなるため、全身の健康にも影響が出てきます。
~ 症状は気づきにくく発見が遅れがち~
COPDは風邪でもないのに、咳やたんが続いたり、階段の昇り降りで息切れを感じたりする症状から始まります。
ごくありふれた症状なので見過ごされやすく、発見が遅れがちです。
進行すると、着替えや入浴などのちょっとした動きでさえ息苦しく、日常生活もままならなくなります。
~命に関わる重大な病気~
COPDは重症化すると死亡率の高い、命にかかわる病気です。
2014年には日本で1万6000人以上の方がCOPDで亡くなっており、男性の死亡原因としては第8位でした。
WHO(世界保健機関)によると1990年には世界の死亡原因の第6位でした。
その順位は上昇の一途を辿り、2020年には第3位になると予想されています。
~意外と身近な病気~
日本でCOPDの疑いがある人は530万人、40歳以上の約10人に1人と言われています。このうち、治療を受けている人はわずか22万人。
すなわち500万人以上の人が自分がCOPDであることを知らず、何の治療もせずに生活をしているということになります。
COPDは決して珍しい病気ではありません。COPDかもしれないと思ったら、まずは一度医師に相談してください。
~気管支喘息との違い~
COPDとよく似た疾患に気管支喘息があります。
どちらも、咳、痰、息切れ、呼吸困難、喘鳴など、同じような症状であることが多いです。
気管支喘息とCOPDの違いは、喘息は主にアレルギー反応によって気管支の炎症が起こるのに対して、COPDはたばこの煙を主とする有害物質を長期に渡って吸入することにより、細気管支や肺胞の破壊を伴う肺実質にまで病変が及んでしまう事です。
木に例えていうと、喘息は幹や枝の部位の病気、肺気腫は葉っぱのつけ根か、葉の病気ということになります。
また、喘息は発作性で、良くなったり、悪くなったり(よい時は健常人と変わらない)、治療により改善することが多いです。
一方、COPDは寒さや、冬場で悪化し、呼吸困難が慢性的で大きな改善がありません。
疫学的には、喘息は小児から高齢者まで全年齢層で発症するが、COPDは40歳以上の中高年層に多いという特徴があります。
~COPDの治療~
COPDの治療では、息苦しさ、咳、痰などの苦しい症状を緩和する吸入薬を中心に使用します。それらのお薬は、COPDで狭まった肺を拡げ、息苦しさ、咳、痰などの症状を一時的に楽にし、患者さんの生活の質を向上させるために有効です。
お薬を使わずに生活されている方はかなり辛いと思われますので、症状が気になるときは呼吸器の専門医を受診し、適切なお薬の処方を受けましょう。
壊れてしまった肺胞は元に戻ることはありません。
しかしながら早くから治療を始めれば、残っている肺の機能を守ることも可能です。適切な治療により、生活に支障がでるほどまでに重症化することを防ぐ事もきます。
そして、COPDの治療で一番大事なのは禁煙です。
禁煙はCOPDになる可能性を下げ、病気の進行を遅らせ、死亡率を減少させる、もっとも効果的な方法です。COPDが心配な方は1日も早く禁煙をしましょう。
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