みなさんは「全身持久力」や「筋持久力」という言葉はご存知でしょうか?
「全身持久力」は心肺持久力とも呼ばれ、一般的に「スタミナがある事」や「粘り強い事」をいいます。
これは心肺機能によるところが大きく、能力の高い低いは最大酸素摂取量という指標で評価されます。
身体にとり入れた酸素から作るエネルギー量が多いほど、長く身体を動かせ、全身持久力が高いと言えます。
「筋持久力」は特定の筋肉が同じ負荷の運動を何回続けられるかを指します。
似たような言葉に「筋力」がありますが、それぞれの違いを簡単に説明すると、
重ければ重いものを1回持ち上げられるのが「筋力」、同じ重さのものを何回持ち上げられるかが「筋持久力」になります。
これを聴くと、スポーツをする人や若い世代の話だと思うかもしれません。
しかし、高齢者になって持久力があるのとないのとではガラッと変わってきます。
持久力がなくなるとどうなる?
長時間の歩行や階段の上り下りに支障をきたし、疲れやすいので何をするのもめんどくさくなり、ますます体力が低下してしまいます。
そのため、高齢者の方は瞬発力、パワー、最大筋力といった体力よりも、日常生活で行う家事や歩行を長時間続けられるような全身持久力、
階段の上り下りや荷物の運搬などに耐えられる筋持久力が重要になってきます。
全身持久力、筋持久力をつけるメリット
病気の予防
持久力が高い人は、低い人と比べると死亡リスクが低くなるという研究結果があります。
持久力を高める運動をすることで身体活動量の増加に繋がり、結果として動脈硬化予防や生活習慣病予防が期待できます。
また、高齢者では脳の老化予防にも有効な可能性があり、転倒・骨折による寝たきりリスクを軽減することができます。
太りにくくなる
身体の活動量が高まり、肥満になりにくい傾向があります。
持久力の低い人は、高い人よりも生活習慣病や肥満になるリスクが高いという報告もあります。
体力づくり
日常生活を送っていると必ず筋肉を使います。
ベッドから起き上がるときや、食器洗っている時、歩いてスーパーに買い物に行く時も筋肉を使っています。
長時間筋肉を使うと、筋肉疲労となって疲れてしまいます。
そのため、筋持久力を鍛えておくと、少ないエネルギーで身体を動かせるため、エネルギーを効率よく使えるようになり疲れにくくなります。
姿勢保持の向上
人体の70%ほどは遅筋で構成されていると言われ、遅筋は姿勢の保持や運動時に持久性を発揮します。
つまり、綺麗な姿勢を長く保ちたい時や、長く安全に歩く、という観点では、遅筋を鍛えるのが有効です。
全身持久力、筋持久力の高める方法
ウォーキング・サイクリング
全身を使った有酸素運動で誰でも気軽に続けやすい運動です。
行動の範囲が広がるため脳への刺激にもつながり、認知症の予防にもなります。
ヨガ・エアロビクス
体のゆがみを直し、体幹やインナーマッスルを鍛えることで姿勢の改善も期待できます。
代謝の向上による食欲増進や脂肪の燃焼にも効果あり
スイミング
消費カロリーが高く、水着さえあれば簡単にできます。
水中の浮力で関節や腰などへの負担が少なく、ケガのリスクが低いのは高齢者の方には嬉しいですね。
また、水の適度な冷たさや浮力などにはリラックス効果もあります。
スクワット、バランストレーニングなど
加齢により下半身の筋肉量が減りやすくなるため、筋力を付けるためにはスクワットがオススメです。
しかし、下半身の筋力がしっかりしていても、バランス感覚が悪いとふらつきやすくなります。
ふらつきやすいと不安感からすり足になり、足が上がらずつまづきやすくなり悪循環になるので
バランストレーニングも取り入れてみて下さい。
注意点
体力レベルや普段の身体活動、疾病の状況が大きく異なるので、個々の状況に合った形で徐々に進めていくこと。
普段運動しない人が急に運動するときは、心血管系の病気のリスクが高まります。
久しぶりに運動するときはゆっくりと始めて、徐々に強度を上げていきましょう。
不安や心配なこと、運動して何か違和感などがある場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
長期的に継続することが効果的なので、自分に合うものを見つけてくださいね