今回も引き続き認知症についてのお話です。
原因・分類
前回もお話したように、認知症は何らかの原因によって脳の神経細胞が破壊・減少することによって起こるとされており、その原因によって認知症も分類されています。その分類の中でも患者数が多いとされている上位3分類は「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」とされています。
・アルツハイマー型認知症:認知症分類の中で最も患者数が多く、特に女性に多いとされています。脳内にアミロイドβというたんぱく質が溜まることで脳が萎縮することが原因となると考えられている認知症です。
・レビー小体型認知症:神経細胞内で何らかの原因で作られるレビー小体というたんぱく質が大脳皮質などに溜まって脳の神経細胞を破壊することで起こる認知症です。アルツハイマー型認知症とは異なり、男性に多いとされています。レビー小体は脳幹部に溜まることで、パーキンソン病の原因にもなっています。
・脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などが原因で脳の血管に障害が出ることによってその周囲の神経細胞が障害を受けることによって起こる認知症です。原因となる脳梗塞、脳出血など脳血管障害の性差と同じく男性に多いとされています。
治療
一部の認知症を除いたほとんどの認知症において完治させる治療法は見つかってなく、治療の目的は進行を遅らせるということになります。認知症の薬も症状の進行を遅らせるものであり、それに加えて周辺症状がある場合はその症状に対して抗不安薬、抗うつ薬を使うこともあります。
認知症の進行を遅らせたり、周辺症状を軽減するためには、お薬以外の治療方法(非薬物療法)や、周りの方の理解、対応の仕方も重要になってきます。特に、周辺症状の軽減には、中核症状が原因となる不安や苛立ち、ストレスなどを取り除いていくことが重要であるため、薬物療法よりも非薬物療法や周りの方の理解、対応の仕方がより症状に軽減につながる場合があります。
非薬物療法
・認知機能のリハビリ:計算、パズル、ゲーム(脳トレ)などの学習、文章の音読など頭を使うことによって、認知機能の維持、回復が見込めます。
・回想法:認知症の記憶障害は最近の記憶から失われていくことが多く、昔の記憶は失われにくいとされており、昔の写真や映像を見ながら思い出を話してもらう事は意欲の向上や不安な気持ちを軽減することに繋がります。
・その他にも、音楽療法、芸術療法、園芸療法、アニマルセラピー、運動療法などがあり、その人に合ったものを選択して自ら積極的に取り組んでもらう事も重要です。
2回に分けて認知症についてお話nさせて頂きました。認知症について理解しておくことは、身近な方が認知症になった時の早期発見、早期治療につながるかもしれません。また、接し方や気持ちの持ちようが変化すれば認知症の方の不安やストレスなどが減り、周辺症状などの軽減につながったり、家族、介護者の負担軽減につながることもあります。今回のお話が、認知症について学ぶきっかけになればと思います。