みなさんこんにちは! 10月に入り、過ごしやすい気候になってきましたね!
さて、来月はおかやまマラソンが開催されますが、そこで良い成績を残したいというかたも多いのではないでしょうか?
そこで今回は「パワーを発揮するための食事と栄養」についてお話したいと思います。
【筋力アップのための食事】 -たんぱく質の摂り方-
走る、跳ぶ、持ち上げる、投げるなどのスポーツにおけるすべての動作には、筋肉が重要な役割を果たすことは皆さんご存知だと思います。筋肉が力を発揮するには、筋量が必要になります。筋量は、筋タンパク質の合成と分解のバランスで決まるため、筋量を増やすトレーニングや運動による筋肉への刺激に加え、「適切なタイミング」で、「適切な量」のたんぱく質を摂取することが重要になります。但し、筋量を効率よく増やすためにはたんぱく質だけでなく、糖質やビタミンの摂取も重要です。なぜなら、ハードな練習後に、たんぱく質だけ摂取した場合、たんぱく質がエネルギー源として使われてしまうため、筋タンパク質の合成に使われなくなってしまうからです。そのため、たんぱく質と同時に糖質も組み合わせて摂ることが大事です。
では、筋量を増やすために、どのようにすればよいのでしょうか? ポイントは以下の4つです。
① 1食あたりのたんぱく質摂取量を確保する
② 1日あたりのたんぱく質摂取量を確保する
③ 運動後のたんぱく質摂取のタイミングと量を考える
④ エネルギーを十分に摂取する
近年の研究で、タンパク質の合成を高めるためには、1食あたりのたんぱく質摂取量を体重1kgあたり0.24g以上(体重70kgの人は約17g以上)にする事が必要であることがわかってきました。特に朝食のたんぱく質摂取量が体重1kgあたり0.24gより少ない人では、筋量が少ないことが報告されています。したがって、1食あたりのたんぱく質摂取量を意識することが、効率的な筋量の増加につながります。
例として、朝食を食パン 2 枚とコーヒーで済ませてしまうと、たんぱく質は 11.2g しか摂れませんが、そこに、卵 1 個(7.4g)又はウインナー3 本(7.1g)を追加し、コーヒーを牛乳 200mL(6.6g)に変更することで、朝食から摂れるたんぱく質量は約25g となります。朝食、昼食、夕食と、それぞれ十分なたんぱく質を摂取することが筋量を増やすために必要です。特に朝食は、軽く済ませてしまう方が多いので意識して摂取していきましょう。
また、1日の総たんぱく質摂取量にも気をつける必要があります。スポーツを行う人のたんぱく質摂取量は、競技の種類や運動強度、内容にもよりますが、体重1kgあたり1.2~2.0gの範囲に設定することが奨められています。筋力トレーニングなど筋肉への負荷が多い時には多めに、持久系トレーニングの時には少なめに設定するなど、競技の種類に関わらず、トレーニングの内容に合わせてたんぱく質摂取量を設定しましょう。1食でたくさんのたんぱく質を摂取することは難しいので、補食などをうまく活用していくと十分にたんぱく質を摂取することができます。トレーニング後プロテインを摂取しようとする場合は30分以内を目安にしてみましょう。
【持久力アップのための食事 Ⅰ】-エネルギー源としての糖質の摂り方-
運動時のエネルギー供給源は、運動強度や時間によって変化しますが、主要なエネルギー源として糖質が利用されます。糖質は、血液中の血糖、筋肉中や肝臓中のグリコーゲンとして多く蓄えられ、運動時に必要な分だけエネルギー源として利用されます。体内に貯蔵している糖質は、運動によって減少し、糖質の減少はパフォーマンスの低下や疲労の原因となります。体内に貯蔵できる糖質は少なく、エネルギーとして換算すると2,000kcal程度と言われています。一方で、脂質は体脂肪として貯蔵されており、エネルギーとして考えると約65,000kcalと言われています。糖質も脂質も体重や筋肉量等によって貯蔵量は変化しますが、糖質の貯蔵量が少ないことは明らかになっています。糖質補給の目安としては以下の通りです。
<運動時の糖質補給の目安>
運動の1~4時間前までに体重1kgあたり1~4g(体重60kgの場合60~240g)
運動中1時間あたり30~60g
糖質も摂取してからすぐにエネルギーとして利用されるわけではないため、消化吸収の時間を考え、運動開始に近づくに連れ消化が早く、吸収が早いものにすると良いです。例えば、運動開始3、4時間前はしっかりとした食事、運動開始1、2時間前は消化が早いおにぎりやサンドウィッチなど、運動開始前は経口補水液やゼリーのように考えてみると良いでしょう。このように糖質は重要なエネルギー源ですが、たくさん摂取すれば良いというわけではなく、摂取量やタイミングを考える必要があります。自身の行っている競技の特性を考えて、糖質補給の方法を設定すると良いでしょう。
【持久力アップのための食事 Ⅱ】-エネルギー源としての脂質の摂り方-
脂質は、エネルギー源、細胞膜の主要な構成成分、ホルモンの原料となる体内に重要な栄養素です。脂質の種類として、脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどがあります。エネルギー源として利用されるのは、脂肪酸です。脂質は、1gあたり9kcalのエネルギーを持っており、糖質やたんぱく質 よりもエネルギー密度が高い栄養素です。脂質をエネルギー源として利用するためには、十分な酸素が必要なため、高強度の運動よりも持久系競技のような中強度以下の運動でエネルギー源として利用されます。脂質は体重増加につながりやすく、なるべく避けたほうが良い栄養素としてとらえているのではないでしょうか?しかし、脂質をむやみに制限してしまうと、ホルモンや細胞構成の原料の不足にもつながるため、身体に不調をきたすことも考えられます。例えば、食事管理を厳しく行っている方で肌の調子が悪いなどの症状がある方は、脂質が不足している可能性も考えられます。体重管理のために食事制限をしているなどの場合を除けば、極度に不足するような栄養素ではありません。しかし、意図せず摂取しすぎると体重増加につながるため注意が必要です。
なかでも「中鎖脂肪酸」はエネルギー源として利用されやすく、体脂肪に変換されづらい特性を持っています。しかし、食品に含まれる脂肪酸の多くがエネルギー源として利用されづらい長鎖脂肪酸 であり、中鎖脂肪酸を豊富に含む食品は多くありません。中鎖脂肪酸を含む食品として、ココナッツオイル、牛乳などが挙げられます。日常的に中鎖脂肪酸を摂取するのであれば、牛乳・乳製品の摂取、飲料にココナッツオイルを少量加える程度に留めましょう。脂質であることには変わりがないため、多量に摂取することは避けたほうが良いかもしれません。脂質は、簡単に不足しませんが、持久系運動に関わり、パフォーマンス発揮に重要な栄養素です。
今回はおかやまマラソン前ということでスポーツを行っている方におすすめなお話になりましたが、日ごろから筋肉をつけたいと思っている方や、体力を向上させたいと思っている方にとっても役立つ内容だと思います。日ごろの自身の食事内容を見直すきっかけにつながればうれしいです。
また、やまかわ薬局では経口補水液、経口補水ゼリー、抗原検査キットの販売を行っております。ご入用の際はお気軽にお声がけください