先日、このようなご相談がありました。

「薬とグレープフルーツジュースは一緒に飲んではダメ?」

 

実は、一部の医薬品では相性の良くないものがあります！

薬と薬の相性があることは目にしたことがあるかもしれませんが、

飲みものや食べ物にも注意が必要です。

普段、飲食店や食卓で見かけるグレープフルーツジュースは、飲んでいる薬の効果を強めたり、

副作用が現れやすくなる恐れがあります。

 

そもそも薬はどのように人間の体の中をめぐっているのでしょうか。

 

口から飲み込んだ薬は、一般的には腸管で「吸収」され、体内に「分布」し、

肝臓などで「代謝」され、腎臓などで「排泄」されます。

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、一部の代謝酵素の働きを抑えてしまうため、

その結果体内に残る薬の量が増え、効果が強く出てしまうのです。

 

では、どのような薬と相性が悪いのでしょうか。

一例ではありますが、以下のようなものがあげられます。

 

Ca阻害剤（降圧薬）

・カルブロック（アゼルニジピン）

・アテレック（シルニジピン）

・コニール（ベニジピン）

・アダラート（ニフェジピン）

・ワソラン（ベラパミル）　など

 

免疫抑制薬

・ネオーラル（シクロスポリン）

・プログラフ（タクロリムス）　など

 

高脂血症薬

・リピトール（アトルバスタチン）

・リポバス（シンバスタチン）　など

 

血圧の薬や高脂血症の薬を飲んでいる方は意外と多いかもしれませんね。

普段飲んでいる薬との飲み合わせが気になる方は医師や薬剤師にご相談ください！

 

では、グレープフルーツ以外の他の柑橘類なら一緒に飲んでも大丈夫なのでしょうか？

実は他の柑橘類にも、フラノクマリン類が多く含まれるものがあります！

 

フラノクマリン類が含まれるもの

・夏みかん

・土佐文旦

・きんかん

・いよかん

・スウィーティー

・はっさく

・ダイダイ

・ぽんかん　　など

 

フラノクマリン類が含まれないもの

・バレンシアオレンジ

・温州みかん

・レモン

・甘夏

・デコポン

・カボス

・ゆず　　など

 

マーマレードやジャムなどの加工品にも柑橘類が使われることがあるので、

こまめに成分表示などを確認するようにしましょう。

 

少しの量なら大丈夫だろう、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、

どのくらいの量で薬の作用を強めてしまうかはあきらかになっていないようです。

また、２～３日影響が続く場合もあるので、

薬を飲んでいる方はグレープフルーツジュースを避けたほうがいいのかもしれません。

薬の持続時間が変わり、安定した効果が得られない可能性があります。

柑橘類が好きな方は、薬の変更を医師に相談することをお勧めします。