今年も残すところあとわずかですね。
お雑煮は、1年の幸せを願い、神様に供えたお餅をみんなで食べることで神様からの祝福をいただこうという日本独自の文化です。
お雑煮は、お餅の形や味付け、具など、地方や家庭によって様々な作り方があります。関東や関西でも違いかがあります。関東では、切り餅を使用し、焼いてから汁に入れます。出汁はすまし仕立てです。関西では、円満を意味する丸餅を使用し、茹でてから汁に入れます。出汁は、白みそ仕立てです。
お餅を食べる機会が増えるこの季節は、お餅による窒息事故が増える時期でもあります。
東京消防庁管内での餅・団子等による窒息事故で救急搬送された方は平成20年から平成25年までの5年間で608人おられるそうです。また、この中で高齢者の事故は約90%を占めているそうです。
なぜ、お餅は喉に詰まらせやすいのでしょうか?
それには、お餅の特性が関係しています。
硬さ
お餅は温度が体温に近い40度以下に低下すると硬さが増す特性があります。つまり、調理後の温かいお餅も口に入れると体温に近い温度となり硬くなり始めます。特に冬は、室内の温度も20度前後と低く一層硬くなりやすくなります。
くっつきやすさ
お餅は、体温に近い温度になるとくっつきやすさも増します。口の中でお餅同士がくっついたり、喉にくっつきやすくなります。さらに、くっつくとはがれにくくなり気道が塞がれて窒息につながることもあります。
食べやすい大きさに切る
市販されているお餅をそのまま食べるのではなく、1~2㎝角の食べやすい大きさに切って食べるようにしましょう。
よく噛んで食べる
せっかく小さく切ったお餅もそのまま飲み込んでしまっては、お餅が喉の中で再びくっついてしまうことがあります。よく噛むことでお餅に唾液を十分混ぜることができ、飲み込みやすくなるとともに、喉にお餅が張り付くことを防ぎます。
食べる前に水分を十分に摂り、のどを潤して通りをよくする
特に朝起きてすぐは、口の動きもスムーズではありません。また、寒い時期は温かいお餅でも食べている間に硬くなってしまいます。お餅をしっかり噛んで食べられるように食事の前に会話をするなど口の準備運動をしたり、スープ等の滑らかなもので喉を潤してから食べましょう。
口の中の分が飲み込めてから次の一口を食べる
しっかり噛んだ後、口に入っている分を飲み込んでから、次のお餅やほかの食べ物を食べるようにしましょう。よく噛まないうちにお茶などで流し込まないようにしましょう。
万が一お餅が詰まってしまったらどのように行動すればよいでしょうか。
相手に「喉が詰まったの?」と尋ね、声が出せず、うなずくようであれば窒息と判断します。
まず、119番をします。
相手が咳をすることが可能であればできるだけ咳をさせ続けます。咳ができれば、それが異物の除去に最も効果的です。それが無理ならみぞおちを押し上げたり、背中を叩いたりして、肺の空気を押し出し気管に詰まったお餅を取り除きます。いずれも何回か繰り返し行いますが、肺の中に最も空気がたまっている1回目が大切です。
箸や掃除機で取り除こうとするとかえってお餅を奥に押し込んでしまう恐れがあるので気をつけましょう。
お餅が出た後も注意が必要です。特に高齢者の場合は短期間の呼吸停止でも体にはかなりの負担がかかります。また、残りかすについた雑菌が肺炎を引き起こす可能性があるためすぐに病院で診察を受けるようにしてください。
いかがでしたか。
おいしく、安全にお雑煮を食べて1年間健康に過ごせたらいいですね!
良いお年をお迎えください。
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