不眠症の原因には、ストレス、生活リズム、病気や怪我、薬の影響、寝室の環境的問題などの様々な原因があります。最近では、コロナウイルスやゴールデンウィークの影響で家にいる時間が増え、生活リズムが乱れたり、ストレスにより夜眠れなくなった方もいるかもしれません。
不眠症は症状によって以下の4つに分類されます。
①入眠障害:寝つきが悪い、寝床に入って1時間以上眠れない状態。
②中途覚醒:夜中何度も目が覚めて、その後なかなか眠れない。
③熟眠障害:睡眠の質が悪い、睡眠時間は十分なのに寝た気がしない。悪夢を見る方も多い。
④早朝覚醒:明け方、早くに目が覚めてそのまま眠れない。
不十分な睡眠は、日中の眠気、集中力の低下を引き起こすだけではありません。免疫力が低下して感染症にかかりやすくなってしまったり、体の成長、老化、美容面などさまざま悪影響をもたらします。
寝る子は育つといわれますが、実際、体の成長や老化の防止に関与する成長ホルモンという物質の分泌は夜に盛んになります。特に、22時から3時頃の時間に睡眠状態に入っておくことは成長ホルモンの分泌をさらに促進させるといわれています。美容面でも、新しい皮膚を作り出す細胞分裂が22時から2時ごろで最も活発になるとされています。このため、22時、遅くても0時頃までには眠ってしっかりとした睡眠をとることが重要になってきます。
先ずは、原因となる生活習慣の改善や寝室の環境を見直しがすことが必要です。
それでもよくならない場合は、症状に応じて薬を使って治療していくことも効果的です。医師に相談して症状に合ったお薬を処方してもらいましょう。症状が改善してきたら、お薬は自己判断で勝手にやめるのではなく、いつまで続けるのか、徐々に減らしていくのかを医師に相談して決めておくようにしてください。
・脳の活動鎮静:脳の活動を強制的に抑えて眠気を起こす薬。効果時間によって、さらに超短時間型、短時間型、中時間型、長時間型の4つ分類される。
例)ベンゾジアゼピン系(デパス、レンドルミン、ハルシオン)、非ベンゾジアゼピン系(マイスリー、ルネスタ)など
・睡眠のリズム調整:睡眠に関与するメラトニンの代わりに受容体を刺激して、睡眠のリズムを整える。
例)メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)
・脳の覚醒鎮静:脳の覚醒に関与する物質が作用するオレキシン受容体に拮抗して阻害することで眠気を引き起こす。
例)オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)
不眠症にずっと困っている方、連休などの影響で不眠症になってしまった方は原因をしっかり把握して、正しい治療を行ってください。
不眠症にならないようにするための対策
・就寝時刻にこだわりすぎない、眠くなってから床に入るように
・同じ時刻に毎日起床
・良い睡眠時間は人それぞれ、日中眠気が無ければ問題ない
・昼寝は15~30分以内で
・眠るため飲酒はやめる
・起床時に日光に当たり体内リズムを整える
・就寝前の刺激物(カフェイン、たばこ)を控える
家にいる時間が多くなっている方も多いですので、こんな時でも規則正しい生活は続けてしっかりとした睡眠がとれるようにしましょう。